top of page

 

 

 

 

 

 

 

気がつくとそこは、雲のない世界でした。

 

視界の中に、見知らぬ女性が居ました。焚き火もあります。

焚き火なんて生まれてこのかた、見たことありませんでした。

 

女性がなにかを語りかけてきますが、その言葉は焦りにかき消されます

初対面の人と話をするのは緊張しますが、この際そんなこと言ってられません。息を吸います。

 

「ここ……どこ」

 

声を出して、初めて気がつきました。自分の身体は、相当に疲れて……弱っているようです。

声をまともに出すことさえ、できませんでした。

 

人は様々な事柄を紙に記します。

それは例えば日記だったり、勉強のメモであったり。

 

これはそんな“記されたもの”の内の一つ。

ある紙の上に記された、小さな物語。

 

bottom of page